【書評】のび太から人生のヒントを得る『「のび太」という生きかた』 横山泰行
こんにちは
今回紹介する1冊は
『「のび太」という生きかた』 横山泰行
本書は「ドラえもん」の登場人物であるのび太くんに焦点を当てて、彼の生き方から人生に役立つヒントを紹介しています。
何もかもうまくいっていない印象ののび太から参考になるところってどんなところがあるの?
と思った方もいると思います。
のび太は実は私たちの思っている以上に人生を上手に歩んでいます。
そんなのび太の一面に気付いた著者が「ドラえもん学」を研究し、どんなダメな奴でも夢がかなう「のび太メソッド」という魔法の法則が本書ではとりあげられています。
のび太は人生の勝ち組
ドジでのろまでスネ夫やジャイアンにはいつもいじめられているのび太がどうして人生の勝ち組なの?
そう思われた方もいるかもしれません。
のび太は確かにドジでのろまで何もかもうまくいっていない印象があります。
しかし、いつもいじめているスネ夫やジャイアンも大切な仲間としていつも遊びに誘っています。
さらにはしずかちゃんとも結婚していますよね。
メタ的な発言をすると、「ドラえもん」の主人公はのび太なのではないかというくらい物語で重要な役割を果たしているので作者からも優遇されています。(笑)
こうしてみるとのび太くんは人生の勝ち組と言えますね。
のび太は失敗が多くても人生の分岐点で夢をかなえ、成功しています。
「のび太メソッド」とはのび太がどのように成功してきたのか夢を叶えられた方法をまとめたものです。
のび太が人生をうまく歩んできた方法を参考にすることで私たちの人生にも役立つようなヒントを得ることができるのです。
ひみつ道具はのび太の成長のきっかけ
のび太はいつもドラえもんのひみつ道具に頼ってばかりいるイメージです。
しかし、ひみつ道具を使っても最初は上手くいきますが、最終的には根本的な問題解決にはつながりません。
ひみつ道具はただ便利な道具なのではなくて、常に何かしらのメッセージが込められています。
ドラえもんのひみつ道具の基本的スタンスは、「ひみつ道具に頼らないで、自力で問題の解決に対処することがベストである」なのです。
「ドラえも~~ん」と泣きついてひみつ道具に助けを求めるシーンは印象的ですが、ひみつ道具はあくまでのび太くんが行動するきっかけであり、最終的にはのび太は自分で考えて問題に取り組んでいます。
のび太にとってひみつ道具はどんなものか本書では次のように書かれています。
のび太にとってひみつ道具とは、あくまでも「自分のいいところ」を伸ばしたり、ちょっと足りない何かを後押ししたり、潜在意識の中で眠っているのび太の優しい心を呼び覚ましたりする、きっかけのような存在なのです。
のび太メソッド
「のび太メソッド」とはのび太がどのように成功してきたのか夢を叶えられた方法をまとめたものであると先ほど紹介しました。
ここからは本書で紹介されているのび太メソッドについて3つ紹介します。
成功体験で苦手克服
好きなことであればすぐ行動できますが、苦手なものとなるとなかなか行動する気が起きませんよね。
しかし、苦手意識はちょっとした成功体験によって達成感や爽快感を体で覚えることで克服することができます。
本書では「のび太が九州まで走った!!」というエピソードが紹介されています。
これは走ることが苦手なのび太くんにドラえもんが”未来のルームマラソン”というひみつ道具を出して、文字通り九州までのび太くんが走るというエピソードです。
”未来のルームマラソン”の上で走ると景色が変わり、壁を通り抜けられたり、川の中まで走り抜けることができます。
ここでのび太が東京から九州まで走ってみたいという興味がわきます。
最終的には、走る速度の設定を速くすることで九州まで走り抜けることでできたのです。
そのなかで爽快感と走ることに対する自信を得ることができました。
のび太くんはひみつ道具で走る環境を整えてもらうことによって自ら走ることにチャレンジし、爽快感や達成感を味わうことができました。
きっかけは何であれ、一度成功体験を経験してしまえばのび太くんが爽快感を感じ、自信を得ることができたように、私たちも爽快感や達成感を体で覚えることによって苦手意識を克服ことができるのです。
思い立ったらすぐ行動
大人になると子どもの時に比べて、何か行動しようとしてもあれこれ考えてしまって結局やらないということが多いと思います。
また、その反対であれこれ考えず行動して、「やらなければよかった」と後悔する人もいるでしょう。
本書では”後悔するような行動でも、何もしないでいるよりはまし”といったメッセージが感じられる作品として『シャーロック・ホームズセット』が取り上げられています。
このお話の紹介を本書では次のようにまとめています。
「難事件を解決してしずちゃんに尊敬されたい」と考えたのび太を、ドラえもんが甘やかして、ひみつ道具を提供したけど大失敗に終わった、ドタバタコメディーです。
このお話ではのび太は探偵ごっこはもうこりごりと感じるのですが、これは探偵ごっこをしなければ自分が探偵には不向きであることに気付けなかったでしょう。
何もしないよりは行動した方がましということですね。
とはいえ、失敗するのは怖いという人もいると思います。
たとえ失敗したとしても失敗から次につながることを学べます。
何も行動しなければ、その学びの機会を失ってしまうことにもなりかねません。
のび太のようにすぐに行動に移して自分の向き不向きや自分に合ったやり方を見つけていきましょう。
「ぼくだって」という気持ちがあれば夢はかなう
大きくなると、子どものころのようにあれこれ夢が思いつかないあるいは夢を諦めてしまうということが多くなります。
「具体的な夢は何?」と聞かれたら答えられない人が多いのではないでしょうか?
私も夢について聞かれるとすぐには思いつきません。というか夢を忘れてしまっています()
のび太くんはのんびりしていますが、物語の中でスネ夫やジャイアンに対して反抗心を持っている場面が多くあります。加えて、好奇心も旺盛です。
その中でよく聞く「ぼくだって」というセリフがあります。
のび太は「ぼくだって」という悔しい思いを反発のバネにしながら、身近な小さな夢から、遠大な夢まで心に描いてチャレンジし続けています。
「夢をかなえてドラえもん」の曲の中に”大人になったら忘れちゃうのかな”という歌詞がありますが、年を取ると知らず知らずのうちに夢を忘れたり、諦めてしまいます。
しかし、「ぼくだって」という気持ちを持ち続けることで夢を見続けたり、夢を持ち続けることができるのです。
夢を本当に実現するためには、本人の努力や実践が最も大切であることを示す形で多くの作品は終わります。
と本書に書かれているように、ドラえもんの物語の中でのび太はひみつ道具に頼って問題を解決しているように見えますが、結局はのび太自身の力で解決することが多いです。
本パートで紹介されている「走れ!ウマタケ」というエピソードも竹馬に乗れないのび太くんがひみつ道具に頼らずに竹馬に乗れるようになっています。
小さなことでも目標を設定し、「ぼくだって」という気持ちで挑戦し続けることが夢を叶えるために必要なことなのです。
まとめ・感想
小さいころ好きでよくドラえもんを見ていたときののび太のイメージはひみつ道具に頼ってばかりのドジでのろまな奴でした。
しかし、大人になった今本書を読んで隠されたメッセージなどを見てみると、のび太自身の力で解決している場面が数多くあったのが分かって面白いです。
いつもグーたらしていてもいざというときののび太の行動力は私も見習いたいです。
また、ドラえもんを久しぶりに読み返してみたくなりました。
大きくなった今読んでわかることもありそうですね。
今回、本記事では3つの「のび太メソッド」を紹介しましたが、本書では全部で37個の「のび太メソッド」が紹介されています。
次々と起こる問題を乗り越えているのび太の生き方を学び、私たちの人生において役立つヒントを得ることができます。
是非、人生の勝ち組であるのび太くんから人生のヒントを得てみてはいかがでしょうか?