【書評】『学び効率が最大化する インプット大全』樺沢紫苑

 

こんにちは

 

今回紹介する1冊は

 

『学び効率が最大化する インプット大全』 樺沢紫苑

 

 

ここ数年は「インプット」ではなく「アウトプット」に焦点が当てられてきました。

しかし、アウトプットの重要性は言うまでもないのですが、それと同じくらいインプットも重要です。

インプットが足りなければ、アウトプットも貧弱になってきますよね。

 

つまり、インプットとアウトプットは表裏一体なのです。

 

本書は『アウトプット大全』を手掛けた著者が、アウトプットと表裏一体であるインプットを今一度見直し、「アウトプット力を高めるインプット術」を紹介しています。

 

毎日大量のインプットをしているのに全然身につかない、仕事や日常生活で全然活かせないといった悩みを解決してくれる一冊です。

 

本記事では、本を読むときのインプット術3つ読んでいてためになったインプット術3つを紹介します。

 

 

本を読む際に使えるインプット術

 

まずは本書を読んで本を読む際に活用できそうなインプット術について紹介していきます。

 

主に次の3つです。

1.インプットは量より質

2.「なんとなく」より「注意深く」

3.バランスよく「3点読み」をする

 

本書では本を読む際のインプット術だけではなく、インプットするための話の聞き方やインターネット学習術、インプットを飛躍させる方法についても紹介しています。

気になる方は実際に読んでみてください。

 

 

1.インプットは量より質

 

インプットにおける”量”と”質”の重要度はどちらが高いと思いますか?

 

見出しに答えは出ていますが、”量”より”質”が重要です。

学んだ内容を身につけるにはたくさんアウトプットしましょうと記載のある本は数多いですよね。

しかし、たくさんアウトプットするためのインプットの質が悪ければせっかくの学びも身につきません。

 

本書では、内容の薄い本10冊読むのと内容の濃い本3冊読むのではどちらがより自己成長するか問いを出しています。

 

前者を「三振本」、後者を「ホームラン本」と表現しています。

 

さて、どちらがより自己成長するのか

答えは内容の濃い本を3冊読む方です。

 

内容の薄い三振本をたくさん読むよりも、本当に自分にとって必要で、「気付き」や「TO DO(すべきこと)」をたくさん得られるホームラン本を1冊しっかりと読み込んだほうが、自己成長は大きいのです。

 

自己成長をするためにもインプットをするなら、自分にとって必要な本を見極めることで質を確保することが重要だということです。

 

ただたくさんインプットすればいいというわけではないんですね。

 

 

2.「なんとなく」より「注意深く」

 

世の中には速読なるものがありますが、いくら速く読んでも内容が頭に残っていなければ意味がありません。

 

なんとなくでただ速く読むのではなく、注意深く読むことで質の高いインプットにつながります。

いわゆるザル読みはやめましょう。

まず必要なのは「注意深く読む」ことで「速読」は二の次で構いません。

 

なぜ、注意深く読むことが質の高いインプットにつながるのでしょうか。

 

そのためにインプットの定義について紹介します。

 

本書ではインプットの定義を次のように表しています。

”「読む」「聞く」「見る」ことによって、情報を得て、それを記憶にとどめる”ことがインプットの定義となります。

 

インプット(INPUT)の言葉に着目してみると、

 

インプットとは、脳の中に情報が入って(INする)、情報が置かれる(PUTする)。

 

ザル聞きでは頭から情報が流れ出てしまいますよね。

情報を記憶にとどめることがインプットであるので、”注意深く”を意識することで頭に記憶をとどめさせる準備することが必要だということです。 

 

質の高いインプットを行うためにも”注意深く読む”いわゆる「深読」が求められてきます。

 

 

3.バランスよく「3点読み」をする

 

自分にとって都合の良いことだけ書かれた本を読んでいませんか?

 

本は時には自分を勇気づけてくれることもあるので、ついつい自分の求めている答えのある本を読みがちになりますよね。

 

しかし、自分にとって都合の良いことだけを書かれた本を読むだけではインプットする情報に偏りが出てきてしまいます

 

そこで本書では「3点読み」を紹介しています。

 

「3点読み」ではどんなことが書かれた本を読むのか

 

1.賛成派

2.反対派

3.中立

 

この3冊をバランスよく読むことです。

 

どうしても情報収集するときは1の賛成派の意見ばかり聞いてしまいたくなりますよね。

しかし、1つの意見だけではその問題の長所は分かっても短所は分かりません。

その問題についても長所と短所を明確にしたうえで初めて正しい判断に近づくことができます。

 

正しい判断をするためにも3つの立場からの意見が書かれた本を読むことが求められるんですね。

ちなみに「3点読み」が難しければ、1の賛成派と2の反対派の2冊の本を読む「2点読み」でもいいそうですよ。

 

「3点読み」は読書だけに限らず、仕事や日常生活で大事な判断をする際にもこの考え方を活かすことができるそう。

困ったときは客観的な判断ができるようにいろんな立場からの意見を集めてみることをおすすめします。

 

 

 

読んでいてためになったインプット術3選

 

本書では数多くのインプット術が紹介されています。

ここからは個人的に読んでいてためになったインプット術を3つ紹介します。

紹介しきれないインプット術は実際に読んで確認してみてください。

 

紹介するインプット術は主に次の3つです。

 

1.アウトプット前提のインプットで脳を活性化

2.「インプットとアウトプットの間」が重要

3.脳が一度に処理できるのは3つまでだが、3+3に増やすことは可能

 

順に紹介します。

 

 

1.アウトプット前提のインプットで脳を活性化

 

インプットしたらアウトプットすることが大切なのですが、なかなかアウトプットする時間がないという方もいると思います。

 

仮にアウトプットしなくても記憶に残すための裏技的な方法があるそうです。

 

それは「アウトプット前提でインプットを行う」こと。

 

本書ではロンドン大学のある実験が紹介されています。

”暗記したあとテストする”と伝えたグループと”覚えたものを他の人に教える”と伝えたグループではどちらがテストの得点が高かったかを比較したそうです。

 

結果は、後者のグループの方が点が高かったとのこと。

 

どちらも”アウトプット”を前提にしていますが、どんな差があるのか疑問に思いますよね。

 

その疑問を解決するには、”テストする”と”誰かに教える”ではどちらが気持ちの準備が必要か考える必要があります。

大半の人が”教える”方が気持ちの準備が必要だと思うのではないでしょうか。

 

つまり、「”教える”ことは心理的プレッシャーが高い」ということです。

 

心理的プレッシャーが高くなるとノルアドレナリンという脳内物質が分泌されます。

本書では、その脳内物質がどのような効果をもたらすのかを以下のように説明しています。

ノルアドレナリンが分泌されると、集中力が高まり、記憶力、思考力、判断力が高まります。

 

アウトプット前提にインプットするだけで記憶の残り方が劇的に変わってくるので、誰かに話すあるいは、ブログ・SNSのネタを探す意識をもってインプットすることをおすすめします。

 

 

2.「インプットとアウトプットの間」が重要

 

インプットしたものを記憶してアウトプットする、この間では次のような処理が行われています。

1.記銘

2.保持

3.想起

 

これらは「記憶の3段階」として処理されています。

まず覚えて、記憶として保持して、思い出して最後に書く。

 

”記銘”は”インプット”のこと、”想起”は”アウトプット”のことです。

インプットとアウトプットの2つは重要だとよく耳にしますが、その間にある”保持”が特に重要だとも本書では説明されています。

 

保持(記憶)を強化するための2つの方法があります。

 

「維持リハーサル」と「精緻化リハーサル」です。

 

維持リハーサルは繰り返し覚えることで、精緻化リハーサルは情報の付加によって情報のボリュームを多くすることで覚えやすくする、いわゆる語呂合わせです。

この2つでは精緻化リハーサルの方が圧倒的に記憶しやすいそう。 

 

そのため、記憶を行う際は丸暗記をするのではなく、情報を付加して関連情報も覚えることが大切です。

 

 

3.脳が一度に処理できるのは3つまでだが、3+3に増やすことは可能

 

脳が一度に記憶して処理できるのは3つまでです。

 

なぜこんなにも少ないのかというと、脳の作業スペースである「ワーキングメモリ」の広さが狭いからです。

脳の容量は思っている以上に狭いということですね。

 

では、見出しにある3+3ってどういったことなの?と思った方もいるでしょう。

 

欲張って3つ以上の情報を一度に覚えてアウトプットするのは脳のワーキングメモリの容量的に不可能です。

しかし、3つインプットしてアウトプットし、また次に3つインプットしてアウトプットする、を繰り返していくことで3つずつコツコツと成長していくことができます。

 

本書ではこの方法を「3+3法」と表現しています。

 

大量のことを学ぼうとすることも大切ですが、欲張らずコツコツとインプットとアウトプットを繰り返すことが最も学びを最大化できるということですね。

 

 

 

『学び効率が最大化する インプット大全』まとめ・感想

 

最近はアウトプットに焦点を置かれたことが書かれた本が多くありますが、改めてインプットの仕方も学びに重要な要素だと分かる1冊でした。

 

「アウトプット大全」同様実践したい内容が数多く紹介されていました。

 

個人的にすぐにでもアウトプット前提でインプットすることを実践してみようと思いました。

貧弱なインプットを減らして、アウトプット前提にすることでアンテナを張り、質の高いアウトプットにつなげたいですね。

 

本書では実に80以上のインプット術が紹介されています。 

今回紹介したインプット術はほんの一部なので気になる方は実際に読んでみて自分のインプットの仕方を見直してみてはいかがでしょうか。



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