【書評】『限りある時間の使い方』に学ぶ、”時間”との向き合い方
こんにちは。
「時間が足りない」
周りから常々聞いたり、自分で思っていることではないでしょうか。
今回はオリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』を紹介します。
現代社会で「時間が足りない」のはなぜなのか?
時間を効率的に使いたいと思っている方や常々時間が足りないと思っている方には、時間管理に関する新たな発見ができるかもしれません。
『限りある時間の使い方』 概要
「時間が足りない」現代において、数多くのタイムマネジメントやライフハックの技術が出回っていますよね。
目の前のタスクをどう効率よくこなすかを考えさせようとするものばかりなのではないでしょうか。
しかし、それは以下の大事な真実を見落としています。
「時間を思い通りにコントロールしようとすればするほど、時間のコントロールが効かなくなる」という真実だ。
1日24時間の中でどれだけ効率的に数多くのタスクをこなして空いた時間を作っても、結局はそこにまた新たなタスクを増やしてしまうのです。
本書ではこれを ”生産性の罠” と表現しています。
生産性を高めようとするたびに、本当に大事なことが遠ざかっていくのです。
本書はいわゆる、「時間を効率的に使おう!」といった類のタイムマネジメント本ではありません。
著者は本書を以下のように表現しています。
本書は、時間をできるだけ有効に使うための本だ。
本書を読むことで現代社会で重視されている生産性の罠や時間との向き合い方を知ることができる新たなきっかけになるでしょう。
”時間”との上手な向き合い方
現代社会でなぜ「時間が足りない」と考える人が多いのか。
先ほど、”時間を思い通りにコントロールしようとすればするほど、時間のコントロールが効かなくなる”というワードが出てきました。
つまり、”時間”という概念に捉われてしまっているのです。
ここからはなぜ時間に捉われるのか、時間に捉われている人の特徴と”時間”と上手に向き合うための考え方を本書の内容をもとに3つずつ紹介していきます。
”時間”に捉われている人の特徴
”時間”に捉われている人の特徴は以下の2つです。
・時間の有効活用ばかり考える
・「生産性オタク」になってしまっている
それでは順に説明していきます。
時間の有効活用ばかり考える
「時間をうまくつかわなければ」や「無駄な時間を減らさなければ」と考える人多いのではないでしょうか?
私もゲームをしているときや動画を見ているときに考えてしまうことがよくあります。
「時間を無駄にした」と焦ったり不安に思うこともあると思います。
なぜ「時間をうまくつかわなければ」と考えてしまうのでしょうか?
時間が1日24時間と限られているということが問題ではありません。
本当の問題は、「限られた時間をどう使うか」について、僕たちが厄介な先入観を刷り込まれていることだ。ああしなくては、こうしなくてはという思い込みが、状況を確実に悪化させている。
現代では時計の発明により、生活そのものだった時間という概念が生活から切り離され、時間を”使う”ものになりました。
結果として、やることが多ければ時間の使い方の改善に目を向け、時間の有効活用を考えるようになったのです。
僕たちは時間をあるがままに体験すること(時間であること、といってもいい)をやめて、「今」という時間を未来のゴールにたどり着くための手段に変えてしまった。
将来楽しむために今頑張ろう、という考え方になっているということです。
常に「今」ではなく、「未来」のことしか考えられなくなっているのですね。
そのため、時間を無駄にしたと感じれば、「もっとやらなければ」といった焦りや不安が頭によぎってたくさんのタスクを詰め込んでしまうのです。
そのことを本書では以下のような言葉で表現されています。
時間を支配しようとする者は、結局は時間に支配されてしまうのだ。
「生産性オタク」になってしまっている
生産性オタクとは何のオタクなのでしょうか?
要するに、生産性を上げるためのタイムマネジメントや時間管理ツールなどに詳しいオタクだということです。
著者は自身のことを生産性オタクであったとし、過去に以下のようなことを実践していたそうです。
・一日を全部15分単位に区切って行動
・キッチンタイマーを使い、25分仕事をして5分間の休憩をはさむ
・やることリストを優先順にグループ分けをし、今やるべき仕事を明らかにした
ここまで時間をコントロールできていれば、著者はさぞかし充実した生活が送れたのではないかと思ったことでしょう。
しかし、著者はそのような生活は謳歌できず、むしろストレスを感じていたそうです。
なぜなのでしょうか?
それは、時間をコントロールし、すべてをやろうと思うほどやるべきことが増えていき、時間のなさにストレスを覚えてしまうからです。
生産性オタクは時間をうまく使えばすべてできると信じ、自分の限界から目を背け、やることをどんどん増やしていってしまいます。
結局は時間に捉われてしまい、どこにもたどり着けなくなってしまうのです。
”時間”と上手に向き合うための考え方 【3選】
ここからは”時間”と上手に向き合うための考え方を説明していきます。
以下の3つの考え方です。
・「何もかもはできない」と認める
・人生をありのままに体験する
・希望を捨てる
何か暗いこと書いてるな~と思った方もいるかもしれません。
肩の力を抜くための考え方や「もっと時間を有効に使わなければ…」と無駄に自分を責めなくて済むような考え方ができる”きっかけ”になるものです。
それでは順に説明していきます。
「何もかもはできない」と認める
要するに自分の限界を認めるということです。
現実を直視することは、ほかの何よりも効果的な時間管理術だ。
本書でも上記のように言われています。
自分の限界を認めることはとても大切な考え方になってきます。
自分の限界を認めるなんて、暗いことを言わないでよ~と思ったことでしょう。
決して暗いことを言っているわけではありませんよ。
現実を直視することで焦りやストレスに捉われることも少なくなるのです。
無理に時間の中にタスクを詰め込もうとするのではなく、今できる中で最善の行動を選ぶことが可能になります。
時間に対する問題は自分だけでどうにかなる問題ではありません。
現実をありのままに受け入れることが従来の時間管理術に比べて自由を感じられるのです。
人生をありのままに体験する
時間をコントロールしようとするほど、「今」という時間は「未来」の自由のための通過点になってしまいます。
しかし、「今」という時間は今しか体験できません。
いつか何かをしたらと考える人はその何かが達成できていないため、ずっと満たされていないような気分に陥ってしまいます。
たしかに「未来」のために行動することは大切かもしれません。
しかし、人生は有限であり、あらゆる瞬間は人生における”最後の瞬間”です。
そう考えると「未来」のために「今」を犠牲にするのはもったいない気がしませんか?
もちろん、「未来」のための行動も必要ですが、、、
「今」という時間を「未来」のための踏み台にするのではなく、今を限りあるものだと認めてありのまま人生を体験してみることをおすすめします。
時間に追われるのではなく、自分の意志で自由な行動ができるきっかけになるかもしれません。
希望を捨てる
これまた暗いことを…という声が聞こえてきそうです。
なにも自分の夢を捨てろと言っているわけではありません。
ここでの希望とは、本書の言葉を引用すると、
正しいやり方を身につければ、あるいはもっと頑張れば、どんな無謀なことも成しとげられるという希望。すべてを計画通りにコントロールし、あらゆる苦痛を避けたいという希望。そうした数々の希望の根底にある、いつか本当の人生が始まるんだという希望。今はまだリハーサルで、そのうち自信満々で人生本番を生きられるにちがいないという、途方もない希望。
つまり、これらの希望を捨てることは自分の限界を認めることと同じなのです。
この希望を捨てられずにいると悪いことを避けようとしていつまでも身構えてしまい、おびえながら生きることになってしまう。
一度希望を捨て、現実をあるがままに見つめると、よいことも悪いことも受け入れることが可能になるのです。
希望を捨てることができれば、時間を有効に使わなければという束縛から抜け出すことができる第一歩になるかもしれませんよ。
まとめ|『限りある時間の使い方』
今回は『限りある時間の使い方』から時間との向き合い方を紹介してきました。
限られた時間の中にあれやこれやとタスクを詰め込みまくっても、時間ができればまた次に新しいタスクが増えてしまうという負の無限ループに陥ってしまい、焦りや不安を感じてしまうのです。
そして、時間が足りないという考えになってしまいます。
時間と上手く向き合うためには、現実を直視して自分の限界を認めることが大切ということです。
本書ではいわゆる時間管理術ではなく、このように時間をできるだけ有効に使うことができるようになることを目的としています。
違う視点から物事を見つめるきっかけになり、時間との向き合い方を知ることができる1冊になることでしょう。
途中から書いていて、自分が何を書いているのか分からなくなってきました。
上手くまとまらなかったので、このあたりで終わりにします。