【書評】紙1枚の制約により、学びの思考整理を行う『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』 浅田すぐる
こんにちは
今回紹介する1冊は
『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』 浅田すぐる
本書はトヨタで働いていた経験のある著者がトヨタ式の仕事の型である「1枚にまとめる」ことを学びに用いて、どんなテーマでも「紙1枚」にまとめる学習スキルを紹介しています。
勉強をしても仕事に活かせない、すぐに忘れてしまうといった悩みを解決してくれる1冊となっています。
「学び」が「消費」になっている現代
現代ではインターネットの普及やテレビの情報番組・クイズ番組により学びの機会が多くなっています。
ネットを開けば大概の情報は手に入れることができますよね。
情報過多で学びに対するハードルが低くなっているため、学びという行為自体の価値が低くなっています。
つまり、学びが「消費」行為になっているということですね。
「学び」が「消費」になることでどんな問題が生じるのか?
学んだ内容=いちいち覚えていない、忘れてしまうのが当然
このような価値観が当たり前になっていることです。
ネット上で「へえ~、そうなんだ」と思った記事を読んだとします。
3日後にその記事の内容を覚えているかというと思い出せない人が多いのではないでしょうか。
記事を見たその場で欲求を満たしたあとは早々に消えてしまうのです。
学びを忘れない3つのキーワード
では、どうしたら学んだ内容が忘れないようになるのか?
本書では次の3つのキーワードが紹介されています。
1.目的の明確化
2.思考整理
3.端的な要約
順に説明していきます。
1.目的の明確化
何か学習をするときに目的を明確にしていますか?
目的の有無でどんな違いがあるのでしょうか。
目的を明確にすると、思考整理をするための指標を立てることができます。
勉強をするときにどんなことを目的にするか明確にするだけで学びのアンテナを張ることができます。
目的がなければ、アンテナを張ることができずにただ勉強しただけでなんとなく忘れてしまって終わりの「消費」型の学習になってしまいます。
私自身、本を読む際にただ読んでいることが多く、後でどんな内容だったか思い出そうとしたときに全く思い出せないということがあります。
面白そうって思って目的もなしに何となく読んでいるのが良くないということですね。(汗
本を読むときに目的を明確にしてアンテナを張ってみようと思います。
2.思考整理
本書における「思考整理」の定義とは
「情報を整理」し、「考えをまとめる」こと
学んだ内容を忘れてしまう要因の一つとして、「自分の考えで内容を咀嚼していないから」というものが挙げられています。
情報の整理を行うことなく、得た情報を鵜呑みにしてそのまま頭に入れるという行為は「消費」型の学習になってしまい、結局は学んだ内容を忘れてしまうのです。
私自身、本を読んで「ほうほう、そうなのか」で終わってしまうことばかりなので結構心をえぐられました。
情報を整理し、自分なりの考えをまとめることで脳を働かせることができ、今までザル聞きになって流れ出ていた情報を頭に蓄えることができるのかなと。
3.端的な要約
学んだ内容を忘れてしまう原因の一つとして、
学んだ内容を、「短く要約していない」から
というものも挙げられています。
思考整理してもまとめた内容が長ければ、長すぎて覚えられないという事態が起きます。
それではせっかくの思考整理の意味がなくなってしまうので”端的な”要約が必要になってきます。
「要するに」、「一言でいうと」という制約を加えることでより思考整理が促されるようになります。
「要するに」を考えながら本を読むだけでもかなり頭に入ってきそうですね。
タイトルしか覚えていないということにはならなそうです。
「20字」インプット学習術
本書の顔である「20字」インプット学習術について紹介していくのですが、
「20字」インプット学習術とはなんぞやと思われた方いると思います。
「20字」インプット学習術は1枚の紙とペンだけを用いて学習していく方法です。
B5程度の紙1枚にフレームを書いて、「テーマ」を決めることが前準備です。
手順をざっと紹介します。
①目的を明確にし、赤ペンで記入
②キーワードを抜き出し、青ペンで記入
③抜き出したキーワードの同じ意味の言葉を赤ペンでグループ化する
④まとめた考えを「20字」でまとめる
詳しい方法は本書を読んでみてください。
手順は分かったけど、この学習術を実践してどんなメリットがあるの?ってなりますよね。
ここからは「20字」インプット学習術を用いる利点として分かったことを3つ紹介します。
1.3つの要件をみたした学習が可能
2.「制約」があることで「思考整理」が促される
3.本質をつかみ、学びを端的に表現できる
順に紹介します。
1.3つの要件をみたした学習が可能
3つの要件とは先ほど紹介した3つのキーワードのことです。
1.目的の明確化
2.思考整理
3.端的な要約
「20字」インプット学習術はこの3つをみたした学習が可能になります。
紙に書くことは、目的・キーワード・20字要約の3つです。
目的を書くことは学びの目的の明確化を可能にしますよね。
キーワードを書くことで学んだことを思考整理することができます。
20字要約は文字通り3つ目の端的な要約をみたしています。
たったの紙1枚とペンでこれだけ内容の濃い学習を行うことができるのが「20字」インプット学習術のすごいところです。
2.「制約」があることで「思考整理」が促される
この学習術には次の3つの制約があります。
1.「紙1枚」に収める
2.「枠内」に収める
3.「テーマ」から逸脱しない
この制約がどのようなことをもたらすのか
それは、「制約」があることによって「学習」で重要な「思考整理」が促されることです。
「思考整理」の定義は先ほども説明した通り、「情報を整理」し、「考えをまとめる」ことです。
制約がない場合は、情報を整理して考えをまとめようとしても何をどうやってまとめようか迷い、ただ考えているだけの状況になってしまいます。
これでは思考が分散するだけでいつまでたっても考えはまとまりません。
経験ある方もいるのではないでしょうか。
加えて、「制約」がある場合にもたらされることを本書では次のように言われています。
「この枠の中に収めるにはどうしたらよいか」という縛りがあることによって、思考の方向性は常に「何とかして端的にまとめよう」というものになっていきます。
その結果、「一言で言うと?」「煎じ詰めると?」「要するに?」といった言葉が自然と口ぐせになり、シンプルな言葉にまとまるまで「考え抜く」習慣がつくのです。
考え抜く習慣がつくことで思考整理しているテーマについての「本質」をつかむことができます。
「本質」については次に説明していきます。
まとめると、「制約」があることでテーマの「本質」をつかむことができるようになるのです。
3.本質をつかみ、学びを端的に表現できる
先ほどは「制約」により「本質」をつかむことができると説明しました。
「本質」とは次のように本書で説明されています。
本質とは、多くの事象に当てはまる「よりどころ」
多くの事象に当てはまるよりどころということは、1つの本質をつかむことができれば学習のテーマについて多くのことを段階をふんで理解できるようになります。
この本質をつかむ力は仕事でも必要不可欠のものです。
本質にはある特徴があるそうです。
本質はシンプルなので、端的な言葉で表現可能
後で思い出しやすいシンプルなインプットをたくさん蓄えることができます。
「情報を整理」し「考えをまとめる」という思考整理を繰り返し、考え抜くことを通じて「本質」をつかめれば、学びを「端的に表現できる」ようになる。
これが「20字」インプット学習術を活用することで学びを忘れにくくなる仕組みです。
20字インプット学習術を試した感想・まとめ
本書を読んでみて実際に20字インプット学習術を試してみました。
結構難しいですね(笑)
書きたいことをしぼることになれていないからか色々とキーワードを引っ張ってきたり、20字要約を平気で20字超えたりとやりたい放題です。
これに関しては練習あるのみですね。
実践してみた結果思っている以上に本の内容が頭に入っているので何か頭に準備させることが学習の深さに関わってくるのだと実感。
仮に忘れてしまっても紙1枚見れば芋づる式に思い出せそうです。
本書では20字インプット学習術の他にも、3Qアウトプット学習術が紹介されています。
3Qアウトプット学習術とは、3W(What, Why, How)の2W1Hを満たした学習法です。
今回は本書のタイトルで強調されている「20字」に着目した20字インプット学習術を紹介しましたが、3Qアウトプット学習術もできれば紹介したいくらい興味深い内容となっています。
ぜひ、本書を読んでこれらの学習術を実践してみてください。